映画  UNE FAMILLE A LOUER 『レンタルファミリー』
22/02/201802:43 Yusuke Kenmotsu
契約家族
 
ジャン=ピエール・アメリス監督の2015年の作品。アメリス監督にとって長編10作目の本作はロマンティックコメディだが、日本では未公開。
アメリス監督が初めて日本で紹介された『デルフィーヌの場合(1998)』や『ベティの小さな秘密(2006)』といった作品では、主人公である少女がその年齢に応じた危険な冒険(性の目覚めや精神病院から脱走した男との出会い)が描かれていた。そういった青春ものか、『奇跡のひと マリーとマルグリット(2014)』で描かれる「もう一つのヘレン・ケラー物語」といわれるような感動ものは比較的劇場公開されやすいが、『ヴィクトル・ユゴー 笑う男(2012)』のような文芸ものや、『匿名レンアイ相談所(2010)』や本作のような恋愛コメディは日本での劇場公開は難しいようだ。しかしコメディの方が映画の質が劣るという訳では全くなく、誰もが安心して観られる良質なものが多い。

 
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豪邸で何不自由なく暮らすポール=アンドレ(ブノワ・ポールヴールド)であったが、彼は孤独で理解者といえば執事のレオン(フランソワ・モレル)だけだった。そんなポール=アンドレがテレビを見ているとそこにはある女性が映っていた。その女性はヴィオレット(ヴィルジニー・エフィラ)という2人の子供を抱えるシングルマザーで、彼女は失業中であった。生活に困りスーパーマーケットで万引きをしてしまったところを警備員に取り押さえられたのだけれど、もみ合っているうちに警備員が転倒してしまい怪我を負わせてしまう。

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このことが事件となり裁判が行われるという全国放送のニュースをポール=アンドレは見たのだった。裁判では彼女に生活能力がないということで2人の子供との接見が禁止される。カメラの前で、ヴィオレットは家族や愛が必要なのだと訴える。それを見たポール=アンドレは後日、彼女に奇妙な提案をする。孤独で家族というものを体験したかったポール=アンドレは彼女の罰金や借金を肩代わりする代わりに家族になろうというものであった。あまりにも突飛で不可思議な申し出であったが、今日の生活費にも困る現状や子供とはなればなれになってしまうことを考え、彼女は受け入れることにする。3か月という期間を設けきちんと契約書を交わしポール=アンドレは彼女の家で生活することになる。

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2人は子供達には契約などと言わず、一目ぼれで愛し合ったと説明している。そんな中、元気盛りの男の子が親の部屋のベッドで飛び跳ねて遊んでいて、ベッドとベッドの隙間に落ちてしまうギャグは、戦前のハリウッドのプロダクションコードによって夫婦でもダブルベッドで寝るのが禁じられていたころのコメディのようだ。
ヴィオレットは性に奔放(2人の子供の父親も見るからに違う)で、夜は男に会いに出かけてしまう。たまにポール=アンドレを誘惑しようとしても、彼は契約にないと突っぱねてしまうのだ。
 
契約上の疑似的な家族、偽りの夫婦に本当の愛は生まれるのかというのが本作の見どころだろう。
本作同様ヴィルジニー・エフィラが主演し2人の子供を育てるシングルマザーを演じた恋愛コメディであるジュスティーヌ・トリエ監督作『In Bed with Victoria(2016)』と『レンタルファミリー』を見比べると、男性監督と女性監督でキャラクターや女性像が全く異なっていて非常に興味深く、それでいてどちらも映画として面白い。
 
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1982年生まれ。京都市在住。 古今東西の映画や国内外の映画祭を愛す。 フランス映画に惹かれたきっかけは、印象派絵画の巨匠オーギュスト・ルノワール の次男坊という興味で観始めたジャン・ルノワール監督作品との出合いから。 人生の悲喜交々を、自然や天候と戯れるような大らかさや女優たちへの少しばかり 淫らな視線、画面の構図、色彩感覚といった父親譲りの才能で描き出された彼の 作品群で映画の歓びを知る。 フランス映画以外ではアメリカのフィルム・ノワールや西部劇が特に好み。 映画検定一級取得。

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