映画  L'HOMME DE RIO 『リオの男』
22/12/201512:35 Yusuke Kenmotsu

映画『リオの男』
ベルモンドの冒険アクション
 

1963年製作のフィリップ・ド・ブロカ監督作品。彼は監督デビューする前にヌーヴェルヴァーグのフランソワ・トリュフォー監督『大人は判ってくれない(1959)』やクロード・シャブロル監督『美しきセルジュ(1958)』『いとこ同志(1959)』の助監督をしており、これらのいくつかの作品やゴダール監督の『勝手にしやがれ(1959)』にはちょい役で出演もしている。

音楽はトリュフォー作品でお馴染みのジョルジュ・ドルリューで、南米風のラテン音楽に独自のアレンジを加えて雰囲気を盛り上げている。

本作は日本の人気アニメーション『ルパン三世』の元ネタと言われており、主人公をジャン=ポール・ベルモンドが演じている。ほとんどのアクションシーンを自らこなし、女性とお宝のためにパリからブラジルへ南船北馬東奔西走と慌ただしく駆け巡るキャラクターは確かにルパン三世と合致する。そんなこともあり日本での本作のテレビ放映時には山田康雄氏がベルモンドの声を吹き替えている。



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ヒロインはカトリーヌ・ドヌーヴの姉フランソワーズ・ドルレアック。25歳で交通事故により夭折してしまう彼女の作品数は決して多くないのだけれど、本作では天真爛漫なヒロインを魅力いっぱいに演じている。
 
航空兵のアドリアン(ジャン=ポール・ベルモンド)は一週間の休暇を使って恋人アニェス(フランソワーズ・ドルレアック)のいるパリにやってくる。そのころパリの人類博物館では古代のアマゾンの小像が盗まれる。この像は3体1セットのうちの1つでカタロン教授(ジャン・セルヴェ)が寄付したものだった。他の持ち主は、カタロン教授と一緒に発見したビレルモーザ氏とブラジルのディ・カストロ氏(アドルフォ・チェリ)だったが、アニェスの父であるビレルモーザ氏は探検の後死亡し、像はアニェスがブラジルのどこかに隠したという。

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そんな時、カタロン教授が何者かに連れ去られ、アニェスも誘拐されてしまう。そしてアドリアンは愛する恋人を奪還すべく走り出すのだけれど、その道程はフランスに留まらず、映画のタイトルの通りブラジルのリオまで飛ぶことになる。
 
本作では、追いつ追われつのアクションを支える数々の乗り物とそれを乗りこなすベルモンドが素晴らしい。パリでは誘拐されたアニェスを追うために、盗んだバイクで走りだす。ヘルメットを被らず葉巻を加えながら運転する姿がかっこよく、途中で事故してしまうのもベルモンドならではのご愛嬌。飛行機が空港に着くやいなや、飛行場の作業車に乗り込み追っ手を振り払いながら、作業車の梯子を使って空港の建物の2階に侵入する。そして建物の中でも階段を使ったアクションなどが続けざまにあり、全く無駄がない。
乗り物という点では他にも自転車や車や船、ジェットスキーなどいずれもスリル満点で息つく暇もないのだけれど、圧巻は飛行艇を追うためにベルモンドが乗るプロペラ機だ。くしゃみをしてひっくり返り曲乗りのようになってしまう。着陸するところがないのでパラシュートで降り立つが木に引っかかり、その下の川にはワニがいてベルモンドを狙っているというまさにマンガのような展開だ。
 


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リオだけではなく、ブラジリアやアマゾンなど今でもなかなか行く機会のない場所での冒険活劇は、公開された1964年というまだまだカラーテレビの珍しい東京オリンピックの年に、大画面フルカラーで観た時の当時の観客の興奮は、今の人が本作を観るのとは少々違ったことだろう。しかしルパン三世だけでなく、スピルバーグ監督の『レイダース/失われた聖櫃(1981)』にも影響を与えた秘宝をめぐるアドベンチャーはどんな人でも楽しめる最高のエンターテインメント作品である。
 


L'HOMME DE RIO 『リオの男』
再放送時間は
こちら
 
 
1982年生まれ。京都市在住。 古今東西の映画や国内外の映画祭を愛す。 フランス映画に惹かれたきっかけは、印象派絵画の巨匠オーギュスト・ルノワール の次男坊という興味で観始めたジャン・ルノワール監督作品との出合いから。 人生の悲喜交々を、自然や天候と戯れるような大らかさや女優たちへの少しばかり 淫らな視線、画面の構図、色彩感覚といった父親譲りの才能で描き出された彼の 作品群で映画の歓びを知る。 フランス映画以外ではアメリカのフィルム・ノワールや西部劇が特に好み。 映画検定一級取得。

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