映画  アミアン国際映画祭 (4)
15/12/201513:12 Yusuke Kenmotsu

授賞式
 
今日も14時から映画を観始め、3本観ることができました。最初に観たベルギーのヴァレリー・ロジエ監督の『PARASOL』で、この映画祭のコンペティション部門の全8作品制覇したことになります。スペインのマジョルカ島を舞台にしたこの作品は、同名ということもあり『アデュー・フィリピーヌ(1960)』や『オルエットの方へ(1970)』のフランス人監督ジャック・ロジエを想起させるバカンス映画です。両親とともにイギリスからやって来た青年や、ベルギー人の老婦人、現地で送迎バスの運転などで生計を立てるシングルファーザーとその娘、といった人々が織り成す群像劇で、現代人の孤独、思春期の苛立ち、親子愛などを、ユーモアを交えて描いた75分の小品佳作でした。
 
ジョン・ランディス監督もそうですが、この映画祭では特定の映画人にスポットライトを当てて特集上映をするオマージュの部門があります。ポルトガルの撮影監督のフイ・ポーサスもその1人で、撮影を担当した、ジョアン・ペドロ・ロドリゲス監督の『オデット(2005)』や『男として死ぬ(2009)』、ミゲル・ゴメス監督の『私の好きな八月(2008)』や『熱波(2012)』など9作品を上映しています。5本ほどは観たことのある作品であったのと時間的な関係から今回は観ることができませんでしたが、映画祭の目の付け所に好感が持てる渋いオマージュです。

そしてもう1人特集されているのが米国監督のアルバート・リューイン。ここでは『ドリアン・グレイの肖像(1945)』や『パンドラ(1951)』といった日本でも公開された作品もやっていますが、この日観たのは『THE LIVING IDLE(1957)』という彼の最後の監督作品。メキシコを舞台としていて、ピラミッドのロケーション撮影と内部のセット撮影が巧く合わさっています。古代の彫刻によって奇妙な力にとり憑かれる女性の映画で、マッドサイエンティストのような教授も出てきて楽しい作品。『インディ・ジョーンズ』シリーズの先祖のような印象も受けました。
 

その後映画祭の授賞式へ行くため、グランド・シアターというところへ。

短編部門のなんとか賞から始まって、短編のグランプリ、長編の観客賞(『PARASOL』が授賞)、長編のなんとか賞、男優賞、女優賞、アミアン市民賞(?)と続いてようやく長編のグランプリが発表です。
後出しジャンケンのようではありますが8本観た中で傑出した作品だと感じていた『LA MONTAGNE MAGIQUE(魔法の山)』がグランプリを獲り、演技賞や観客賞も順当といった受賞結果でした。



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© Yusuke Kenmotsu
 

 
これにて一件落着、とはならず、同じ施設にある別の劇場オーソン・ウェルズシアターへ。授賞式にいた人たちはほとんどこちらに流れて21時30分からもう1本。
ここでは『トワイライトゾーン/超次元の体験(1983)』の上映が行われました。この作品は4つのエピソードからなるオムニバス形式のSF映画です。それぞれのエピソードを第1話がジョン・ランディス、第2話をジョー・ダンテ、第3話をスティーヴン・スピルバーグ、第4話をジョージ・ミラーという豪華な監督たちが演出しているのが見所。そしてジョン・ランディスのパートの撮影の際、ヴィック・モローが事故死してしまったので、呪われた映画と言われることもある作品です。
 
この上映でも拍手が巻き起こり盛り上がっていました。劇場から外に出ると0時前。一応映画祭は翌日もあるのですが、最終日は受賞作をもう一度やるようなので、ほとんど観た作品ばかりでした。アミアンの町もそれなりに歩き回ったし、映画も観るものがほとんどない。でもホテルはもう1泊ある。ということで、そうだ、旅に出よう!と思い至る授賞式の夜。


 

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© Yusuke Kenmotsu

 

1982年生まれ。京都市在住。 古今東西の映画や国内外の映画祭を愛す。 フランス映画に惹かれたきっかけは、印象派絵画の巨匠オーギュスト・ルノワール の次男坊という興味で観始めたジャン・ルノワール監督作品との出合いから。 人生の悲喜交々を、自然や天候と戯れるような大らかさや女優たちへの少しばかり 淫らな視線、画面の構図、色彩感覚といった父親譲りの才能で描き出された彼の 作品群で映画の歓びを知る。 フランス映画以外ではアメリカのフィルム・ノワールや西部劇が特に好み。 映画検定一級取得。

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