映画  アミアン国際映画祭 (1)
20/11/201512:12 Yusuke Kenmotsu

ピカルディー地方の映画祭
 
毎年11月に開催されており、今年は13日から21日までの間に、200本以上の映画が上映されます。今月の13日といえばパリで痛ましい同時テロが起きた日にち。この映画祭も週末は一時中断していたようです。ミーティングの結果、続行を決断したようで、私が到着した16日の夜には、週末にできなかった上映やイベントが行われていて、文化や芸術の力強さや気概を感じました。各上映の前には、スクリーンにピースマークとエッフェル塔を掛け合わせた「PEACE FOR PARIS」のデザインが映し出され、犠牲者の方への追悼、パリの平和を祈る時間が設けられています。
 
来年以降アミアン国際映画祭に行きたいと思った人のために、細かい道順を記そうかとも思ったのですが、「そうだ、アミアン行こう!」と思い立って、行動に移してしまうようなフットワークの軽い人ならば、恐らく簡単に到着できると思います。というわけで、道順としてはパリの北駅から電車に乗って1時間強でアミアンの駅に着きます。駅からはいずれの会場も徒歩圏内なので地図なりアプリなりで探しましょう。散歩と迷子は旅を芳醇なものにしてくれるはずです。
 

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© Kenmotsu Yusuke

 
地方の映画祭の醍醐味は特色ある映画作品の選定だけでなく、その土地そのものを楽しむことにあると思います。ここアミアンは人口14万人程の都市ですが、世界遺産のアミアン大聖堂やサン=ルー地区の運河など見所が多く、文学好きには、作家ジュール・ヴェルヌが晩年を過ごした家を訪れるのもいいでしょう。
 
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© Kenmotsu Yusuke
 
到着の翌日、午前中はジョギングをしたり買い物をしたりで、映画を観始めたのは14時の回からだったのですが、その日は4本観ることができました。

個々の作品については機会があればまた書こうと思いますが、コンペティション部門の新しい作品を2本見た後で、TV5MONDEでも去年放送された『幸福の設計(1947)』を観ました。大好きなジャック・ベッケル監督の大好きな『幸福の設計』なので、何度も観ているのだけれど映画館で観るのは格別で、半世紀以上前の作品でありながら、上映後は拍手が沸いていました。この上映はゴーモン社120周年記念の部門で、ゴーモンのシネコンも映画祭の会場の一つです。他にはルイ・フイヤード監督の『ファントマ(1913)』やジャン・ヴィゴ監督『新学期・操行ゼロ(1933)』、ジャン=シャルル・タケラ監督『さよならの微笑(1975)』などゴーモン社だけでなく、フランスの映画史を彩るラインナップが上映されています。

『幸福の設計』もかなりの客の入りだったのですが、次に観ようと思っていたジョン・ランディス監督の『ブルース・ブラザース(1980)』は入れるかどうか心配になるぐらいの行列で、満員の観客の中で観ることができました。この作品は今年の注目のゲストであるジョン・ランディス監督をオマージュした部門で上映されています。この作品も最近Blu-rayで観なおしたばかりだったのですが、上映を心待ちにする人たちの列を見ていると、居ても立っても居られなくなり、また観てしまいました。劇場の外の地面には、よく見ると主演2人の顔がペイントされています。2人のうち、ジョン・ベルーシは早くに亡くなってしまったが、ベルーシとエイクロイドのグラサンコンビは永久に不滅です。この上映でも拍手が沸き起こり、気持ちよく劇場を後にしながら、ふと最初に観たコンペティション部門の2作品は監督がいても、しーんとしていてシビアだなぁなどと思い返す、小雨が気になる肌寒い夜でした。

 
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© Kenmotsu Yusuke
 
1982年生まれ。京都市在住。 古今東西の映画や国内外の映画祭を愛す。 フランス映画に惹かれたきっかけは、印象派絵画の巨匠オーギュスト・ルノワール の次男坊という興味で観始めたジャン・ルノワール監督作品との出合いから。 人生の悲喜交々を、自然や天候と戯れるような大らかさや女優たちへの少しばかり 淫らな視線、画面の構図、色彩感覚といった父親譲りの才能で描き出された彼の 作品群で映画の歓びを知る。 フランス映画以外ではアメリカのフィルム・ノワールや西部劇が特に好み。 映画検定一級取得。

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